三宅香帆

三宅香帆さんの「面白すぎてもう一度読みたい本」11冊まとめ|書評家のおすすめ本【10の質問】

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こばん
こばん

また、候補だけ増やして終わるやつ?

しゅり
しゅり

今回は1冊、買うところまでやりました。

書評家の三宅香帆さん——『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が30万部のベストセラーになった方です——が、YouTubeで「面白すぎてもう一度読みたい!と思う本」を11冊紹介していました。この記事では、その11冊を動画の登場順に全部まとめて、動画でどう紹介されていたかと、私の正直な感想を書いていきます。

私は本を読むのが遅いので、1冊選ぶのにも慎重になります。だからこそ、これだけ読んでいる人の「もう一度読みたい」は、いちばん安心できる絞り込みだと思いました。

紹介された11冊の一覧

動画は「ChatGPTが考えた読書に関する10の質問」に答える形式で、質問ごとに本が挙がっていきます。並びは動画の登場順で、ランキングではありません。

#書名(著者)どんな質問への答え?
1凍りのくじら(辻村深月)1ページ目を開いた瞬間に世界が変わる本
2グロテスク(桐野夏生)一晩で読み切ってしまった本
3春にして君を離れ(アガサ・クリスティー)記憶を消してもう一度騙されたい本
4福翁自伝(福沢諭吉)出会い直したい破壊力の強い本
5LAフード・ダイアリー(三浦哲哉)文章の美しさに鳥肌が立つ「文体萌え」な本
6地獄変(芥川龍之介)今出会っていたら打ちのめされていた古典
7ダンス・ダンス・ダンス(村上春樹)読後、しばらく現実に戻れなくなる本
8海潮音(上田敏 訳)自分だけの宝物にしておきたい本
9白夜行(東野圭吾)仕事のノイズを完全にシャットアウトする本
10チョコレートコスモス(恩田陸)同上(2冊挙がったうちの1冊)
11侍女の物語(マーガレット・アトウッド)最後まで読んで、最初から読み直したくなる本

動画の概要欄にある紹介書籍リストは上の11冊ですが、話の流れではほかにも本の名前が挙がっていました。辻村さんの流れで『冷たい校舎の時は止まる』『スロウハイツの神様』『傲慢と善良』、クリスティーの流れで『アガサ・クリスティー自伝』、三宅さんの著書『人生を狂わす名著50』の話から『高慢と偏見』(ジェイン・オースティン)と『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ)、福沢諭吉の流れで『学問のすゝめ』(三宅さんの中で最近福沢諭吉ブームが続いているそうです)、三浦哲哉さんの流れで『自炊者になるための26週』、村上春樹さんは短編集『TVピープル』、恩田陸さんは『蜜蜂と遠雷』。全部拾うと20冊を超えていて、三宅さんご自身も途中で「特に10冊じゃなさそう」と言っています。この記事では、概要欄の紹介書籍リストにある11冊を1冊ずつ見ていきます。

※各カードの値段と楽天評価は、2026年8月8日時点の楽天ブックス(紙の文庫)のものです(値段は税込)。ページ数・判型・刊行は出版社公式サイトで確認しました。

1.『凍りのくじら』(辻村深月)

「1ページ目を開いた瞬間に世界が変わる本」という質問への答えが、この1冊とのこと。辻村深月さんの長編小説です。動画では「万人誰が読んでも面白いんじゃないかな」、そして、これから辻村ワールドに入れる読者が心底羨ましい、とまで話されていました。

私は辻村さんの作品を読んだことがなく、「辻村ワールド」という言葉もこちらの動画で初めて知りました。コメント欄を見ると、辻村作品を読破したというファンの方までが、同じようにまだ読んでいない読者を羨ましがっています。どうやら私は得な側にいるようなので、知らない世界に当てられてみたくなりました。

辻村深月

凍りのくじら(講談社文庫)

凍りのくじら(講談社文庫)

「写真を撮らせてほしい」。夏の図書館でそう声をかけてきた青年に、高校2年の理帆子は戸惑います。藤子・F・不二雄を「先生」と呼んだ父が失踪して5年、人と話していても本気で楽しいと思えずにいた彼女。この出会いと同じ頃、不思議な警告が始まります。

出版社
講談社
刊行
2008年11月
仕様
文庫・576頁
楽天評価
4.1/5(1,836件)
値段
¥1,078

2.『グロテスク』(桐野夏生)

「一晩で読み切ってしまった本」。桐野さんはそもそも一気読みさせる作家で、なかでもこの作品は特に没頭できるとのことでした。コメント欄では、読後がかなりきつかったという声と、それでも没頭感は確かにあるという声が同居していて、覚悟のいる本のようです。

没頭して読んでいる時間は、生活の充実に直結している気がします。実はこの記事でどれを買うか、最後まで『白夜行』と迷ったのがこの本でした(結末は記事の最後で)。文庫は上下巻です。

桐野夏生

グロテスク 上(文春文庫)

グロテスク 上(文春文庫)

名門Q女子高には、あからさまな階級がありました。悪魔的な美貌を持つユリコ、途中入学組で、競争心をむき出しにしては孤立していく和恵。ユリコの姉である語り手「わたし」は、二人を憎み、陥れようとします。第31回泉鏡花文学賞受賞作。

出版社
文藝春秋
刊行
2006年9月
仕様
文庫・400頁(上巻)
楽天評価
3.8/5(321件)
値段
上巻 ¥858

3.『春にして君を離れ』(アガサ・クリスティー)

「記憶を消してもう一度騙されたい本」として挙がっていたとのこと。ミステリーの女王・クリスティーが別名義(メアリ・ウェストマコット)で発表した異色作で、探偵は出てこないし、事件も起きない心理小説です。コメント欄でも、自分も読み終えたあとしばらく呆然とした、という共感の声が特に高評価を集めていました。

三宅さんいわく「仕掛けが見事」で、読むと「ぎゃっとなる」——記憶を消してもう一回ぎゃっとなりたい、とまで言っていました。そう聞いてしまうと、どんな「ぎゃっ」が待っているのか逆に気になってきます。

アガサ・クリスティー

春にして君を離れ(クリスティー文庫)

春にして君を離れ(クリスティー文庫)

夫にも子どもにも恵まれ、理想の家庭を築いたと満ち足りていた女性。娘の病気見舞いを終えてイギリスへ帰る途中に出会った友人との会話から、彼女はそれまでの親子関係と、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめます。

出版社
早川書房
刊行
2004年4月
仕様
文庫・336頁
楽天評価
4.2/5(629件)
値段
¥1,320

4.『福翁自伝』(福沢諭吉)

「出会い直したい破壊力の強い本」。旧一万円札の、あの福沢諭吉の自伝です。

動画では、内容だけでなく文章そのものが面白い、今のほうが伝わりそうだと紹介されていたとのこと。コメント欄にも、福沢諭吉の言葉は今の時代にこそ刺さる、という声があって高評価を集めていました。お札の人は難しいことを書いていそう、という先入観があったので、これは少し驚きました。

福沢諭吉

新訂 福翁自伝(岩波文庫)

新訂 福翁自伝(岩波文庫)

長崎遊学、大阪での修業、緒方洪庵の塾での日々、初めてのアメリカ行きとヨーロッパ歴訪、攘夷論、そして王政維新から老年まで。六十年の生涯を本人が口述し、速記に全面加筆して仕上げた自伝です。岩波文庫版は富田正文さんの校訂、小泉信三さんの解題つき。

出版社
岩波書店
刊行
1978年10月
仕様
文庫・424頁
楽天評価
4.2/5(82件)
値段
¥1,276
こばん
こばん

ここまで4冊。財布はまだ無事だね。

5.『LAフード・ダイアリー』(三浦哲哉)

「文章の美しさに鳥肌が立つ『文体萌え』な本」。映画研究者の三浦哲哉さんが、ロサンゼルスでの食生活を綴ったエッセイです。

「文体がすごく好き」という褒め方は、私はあまりしたことがありません。内容ではなく文章そのものに惚れる読書がどういうものか、気になっています。2026年5月に文庫になったばかりなので、いまが手に取りやすいタイミングだと思います。

三浦哲哉

LAフード・ダイアリー(講談社文庫)

LAフード・ダイアリー(講談社文庫)

ハンバーガー、季節のない寿司、ゲリラ・タコス。著者が現地で食べたものを入口に、「多様性」とは何かという問いへ進んでいきます。文庫版はLAフードのレシピを特別収録。三宅香帆さんと原田ひ香さんが推薦しています。

出版社
講談社
刊行
2026年5月
仕様
文庫・320頁
値段
¥990

6.『地獄変』(芥川龍之介)

「今の年齢で出会っていたら打ちのめされていた古典」。三宅さんは10代の頃、『BLEACH』の久保帯人さんがカバーを描いた版がきっかけでこの本を読んだものの、当時は「分かるけどそんなに」という感じだったそうです。芥川は全般的に、10代で読むより今のほうが面白いとのことでした。

私も芥川は国語の授業で読んで、正直よく分からなかった記憶があります。三宅さんでも当時はそうだったなら、大人になった今なら感じ方が違うのかもしれない、と思わされました。文庫は短編集なので、1冊で代表作をまとめて読めます。

芥川龍之介

地獄変(集英社文庫)

地獄変(集英社文庫)

絵を描くためなら、この人はどこまで差し出すのか。表題作は、そんな絵師の執念を描いた一編です。ほかに「羅生門」「鼻」「蜘蛛の糸」「藪の中」など全12編を収録。解説は高橋敏夫さん、鑑賞は北方謙三さんです。

出版社
集英社
刊行
1991年3月
仕様
文庫・268頁
楽天評価
4.1/5(91件)
値段
¥462

7.『ダンス・ダンス・ダンス』(村上春樹)

「読後、しばらく現実に戻れなくなる本」として挙がっていたとのこと。物語の世界から戻ってこられなくなる読後感が語られていて、コメント欄にも、あの戻ってこられない感覚はよく分かる、という共感の声がありました。文庫は上下巻です。

村上春樹

ダンス・ダンス・ダンス 上(講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス 上(講談社文庫)

『羊をめぐる冒険』の物語から4年後。雪の降りしきる札幌の街から、「僕」の新しい冒険が始まります。行き先の見えない道のりを、ダンスのステップを踏むように進んでいく物語。70年代の遍歴を描いた著者が、舞台を80年代へ移した一作です。

出版社
講談社
刊行
2004年10月
仕様
文庫・424頁(上巻)
楽天評価
4.2/5(425件)
値段
上巻 ¥880

8.『海潮音』(上田敏 訳)

「自分だけの宝物にしておきたい本」。明治に出た翻訳詩集で、「山のあなたの空遠く」の訳詩が入っている本、と言えば伝わる方もいるかもしれません。

三宅さんご自身、紹介しても良さが伝わらない気がする、と言いつつ、「上田敏訳はいいぞ」と2回繰り返していました。それでも詩集をほぼ読んだことのない私にはまだ早そうです。ここは素直に見送ります。

上田敏 訳

海潮音 上田敏訳詩集(新潮文庫)

海潮音 上田敏訳詩集(新潮文庫)

ヴェルレーヌ、ボードレール、マラルメ、ブラウニング——さまざまな国の詩人の作品57篇を、上田敏が訳しています。フランスの近代詩を日本に紹介して当時の詩壇を大きく変えた一冊で、その訳文は独立した創作とも見られています。

出版社
新潮社
刊行
1952年12月
仕様
文庫・192頁
楽天評価
4.4/5(29件)
値段
¥506
こばん
こばん

気になるのは分かったから、買うものを決めたら言って。台帳につけるから。

9.『白夜行』(東野圭吾)

「仕事のノイズを完全にシャットアウトする本」の1冊目。映画化・ドラマ化もされた東野圭吾さんの代表作です。動画で三宅さんが「めちゃくちゃ有名だけど、意外と読んだことなかったりしませんか?」と問いかけていて、まさに私のことでした。コメント欄には、この先の人生でこれを超える小説には出会えないと思う、とまで書いている方がいました。

私は『容疑者Xの献身』が好きで、白夜行も映画がずっと気になっていました。この記事を書きながら、いちばん「読みたい」が動いた1冊です。

東野圭吾

白夜行(集英社文庫)

白夜行(集英社文庫)

1973年、大阪の廃墟ビルで質屋を営む男が殺されます。容疑者は次々に浮かぶものの、事件は迷宮入り。被害者の息子と「容疑者」の娘は、その後まったく別々の道を歩んでいきます。二人の周囲に見え隠れする犯罪の影を、19年の歳月とともに追う長編ミステリーです。

出版社
集英社
刊行
2002年5月
仕様
文庫・864頁
楽天評価
4.4/5(3,408件)
値段
¥1,430

10.『チョコレートコスモス』(恩田陸)

『白夜行』と同じ質問で挙がっていた、もう1冊とのこと。演劇の世界を描いた恩田陸さんの長編です。コメント欄には、この本が大好きで、続編が出るという話をずっと待ち続けているという方もいました。

恩田陸

チョコレートコスモス(角川文庫)

チョコレートコスモス(角川文庫)

無名の劇団に現れた少女・飛鳥は、天性の勘で役を演じ、周囲を圧倒します。いっぽう若き女優の響子は、とある舞台への出演を切望していました。二人の天才女優の才能が、奇妙なオーディションでぶつかり合います。

出版社
KADOKAWA
刊行
2011年6月
仕様
文庫・576頁
楽天評価
4.3/5(509件)
値段
¥880

11.『侍女の物語』(マーガレット・アトウッド)

「最後まで読み終えて、最初から読み直したくなる本」として挙がっていたとのこと。ドラマ化でも話題になった、ディストピア小説の名作です。

マーガレット・アトウッド

侍女の物語(ハヤカワepi文庫)

侍女の物語(ハヤカワepi文庫)

司令官の子を産むために「支給された道具」でしかない侍女、オブフレッド。読み書きも化粧も禁じられ、監視と処刑の恐怖に怯えて暮らしています。生き別れた娘に会うため、彼女は順従を装い、恋人とともに逃亡の機会をうかがいます。カナダ総督文学賞受賞作。

出版社
早川書房
刊行
2001年10月
仕様
文庫・576頁
楽天評価
4.2/5(162件)
値段
¥1,870

迷って、『白夜行』を買いました

『グロテスク』と『白夜行』、どちらを先に読むかでしばらく迷いました。どちらも「没頭できる」枠の本だったからです。

決め手は2つありました。文庫1冊で試せること。そして『容疑者Xの献身』が好きという、すでにある接点です。Kindle版を買いました(¥1,430)。

なお、この記事のリンクは紙の文庫に貼っています。電子版はストアの都合でページが消えることがあるためです。Kindleで買った私が言うのもなんですが……。

こばん
こばん

白夜行、1,430円。台帳につけたよ。読み終わったら言って。

こばんの台帳

今回の記録:三宅香帆さんの動画(17分)を視聴。紹介された11冊を調べて、『白夜行』のKindle版を購入(¥1,430・2026年8月6日)。 結論:支出は¥1,430。読むのはこれから。 備考:読み終わったら感想を記事にする(宿題)。

読むのが遅いと、1冊を選ぶのにも慎重になります。だからこそ、たくさん読んでいる人が「もう一度読みたい」とまで言う本のリストは、私にとって失敗しにくい選書の保険のようなものでした。『白夜行』を読み終えたら、正直な感想を記事にします。

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