センス・オブ・ワンダー (新潮文庫)

豊かな感性を育むことの大切さを、愛情あふれる美しい文章で綴った名著として紹介されています。
特に以下のような方に手に取っていただきたい一冊だそうです。

• •環境問題や社会問題に関心のある方
• •育児や教育に関わっている方
• •毎日が退屈で、生きている心地がしない方
• •視野を広げ、柔軟な思考や発想を身につけたい方

この本で語られる「センス・オブ・ワンダー」とは、神秘さや不思議さに目をみはる感性のことで、子どもが生まれながらに持っている豊かな感受性を指すと説明されています。
しかし、大人になる過程で、多くの人は美しいものや畏敬すべきものへの直感力を鈍らせ、失ってしまうそうです。

本書では、知識を詰め込むことよりも、「感じること」が重要だと固く信じられていることが強調されています。
鳥や花の名前を覚えることよりも、感動、驚き、愛情といった様々な感情を共に分かち合う経験こそが大切であり、それが「もっと知りたい」という知的エネルギー、すなわち好奇心を生む基盤となるのだとか。

また、大人になって鈍ってしまった「センス・オブ・ワンダー」を呼び覚ますヒントも示されています。

• •しばらく使っていなかった感覚の回路を開き、鈍感になった五感を自然の中や日常で研ぎ澄ますこと。
• •特に、記憶を呼び覚ます力が強い「嗅覚」を意識して使うことが勧められています。
• •人間を超えた存在を認識し、自然に対して畏敬の念を持つこと。

「センス・オブ・ワンダー」を持つ人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独に苛まされたりすることは決してないとされています。たとえ苦しみや心配事があっても、必ずや内面的な満足と、生きていることへの新たな喜びへ通じる道を見つけ出せるそうです。
それは、この感性が人間の「生きる力」そのものだからだと解かれています。

未来を生きる子どもたちに豊かな人生を送ってほしいという願いが込められた、著者の遺作であり、50ページほどの短いエッセイなので、どなたでも気軽に読むことができる一冊として紹介されています。