
なぜヒトだけが幸せになれないのか (講談社現代新書 2771)
TBS CROSS DIG with Bloombergさんが紹介
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「なぜ、こんなに便利で豊かになったのに、どこか満たされないのだろう?」——そんな現代人の根源的な問いに、生物学的な視点から力強く答えてくれる一冊として紹介されています。
この本を読むと、私たちが日々感じる漠然とした不安や生きづらさの正体が、ヒトの遺伝子と現代社会との間に生じた巨大なギャップにあることが腑に落ちるそうです。
ヒトの遺伝子は、700万年という進化の歴史のほとんど(699万年)を占める、小さな集団で協力し、すべてを分かち合って生きてきた狩猟採集時代に最適化されていると解説されています。そこでは、協力、公平、正義、利他的な精神こそが生き残るための必須スキルだったとか。
しかし、約1万年前に農耕が始まり、財産や格差が生まれる「やよい格差革命(YKK)」が起きたことで、私たちの生活と思考は激変しました。遺伝子がこの変化に適応するには数万年かかるため、私たちは「狩猟採集民の心」を持ったまま、全く異なるルールの現代社会を生きていることになるそうです。
このギャップが、様々な不幸感を生み出していると指摘されています。
- •自慢: もともとは獲物を分け合う「喜びの共有」の合図だったものが、現代ではお裾分けがないため、ただの不快な行為になっているそう。
- •承認欲求: SNSでの「いいね」は、お腹を満たしてはくれない疑似的な承認に過ぎず、かつてコミュニティで得られた本質的な承認とは異なるとか。
- •比べる能力: 集団から追い出されないための生存戦略だったものが、比較対象が無限にいる現代では、私たちを不幸にする原因になっていると説明されています。
また、AIなどのテクノロジーとの付き合い方にも警鐘が鳴らされています。テクノロジーに頼りすぎると、ヒトが生き残るために最も重要だった「考える力」そのものが失われる危険性がある、というのは非常に怖い指摘です!
ただ、悲観的な内容だけではなく、未来への希望も示されています。ヒトの遺伝子に合った小さなコミュニティを再構築し、テクノロジーを「道具」として賢く利用することで、私たちは再び幸せに近づける可能性があるそうです。
「一気に夢中で読んだ」と紹介されている通り、自分のモヤモヤの正体を知り、これからの生き方を考える大きなヒントが得られる一冊のようです。
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