三宅香帆・読了 約9分

三宅香帆さんの「今月の新刊」おすすめまとめ|2026年10月の回で紹介された6冊を、書名と著者、いまの値段つきで並べました

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この記事に出てくるもの

14点

文芸評論家の三宅香帆さんが、2026年10月の「今月の新刊」を紹介する動画を出しています。

こばん
こばん

10月の回は、何が出てきたの。

しゅり
しゅり

対談集が1冊、エッセイが2冊、読書日記が1冊、歴史の本が2冊(デザインと出版)。最後に三宅さんご自身の文庫も。ほかに話に出た作品も、どの本で読めるか、いま買えるかを確かめました。

「今月の新刊」の回の6冊

『孤独をのぞき込む』|小川洋子さんと東畑開人さんが、作品を1つずつ読んで孤独を語る対談集

小説家の小川洋子さんと臨床心理士の東畑開人さんの、6回にわたる対談をまとめた本です。三宅さんの紹介では、対談のたびに作品を1つ選んで2人で読み、孤独とは何か、愛とは何かといったことを語り合っています。

三宅さんの推しポイント

  • 二人が選んだ作品がとてもいい——『ガラスの動物園』や『はてしない物語』、村上春樹さんの「螢」、カポーティの「ミリアム」など、どれも三宅さんが読んだことのある大好きな作品で、そんなにマイナーではない、手に取りやすい本ばかり
  • 読んでいて、心にしみ入った——読み終えたときの感じは、児童文学やエンデ(『はてしない物語』の作者)の作品を読んだときと少し似ていた

三宅さん

読むとしみ入るかもしれないのは

  • 読むとしみ入るかもしれないのは:人生、とても疲れたなと感じている人
しゅり
しゅり

小川洋子さんと東畑開人さんが本について語ってくれてるなんて、絶対面白い、、、! 読みたい本ばっか増えていきそうだけど、最近、読みたい本がある=楽しみがあるって感じで、悪くないなあと思ったりしています。てことで、絶対読みます。

小川洋子・東畑開人

孤独をのぞき込む 秘密の読書会

孤独をのぞき込む 秘密の読書会

対談は、2024年から2026年にかけて文芸誌『群像』に載りました。1回目は小川さん自身の『耳に棲むもの』、6回目は東畑さん自身の『カウンセリングとは何か』で、あいだの4回で『ガラスの動物園』『はてしない物語』「ミリアム」「螢」を読んでいます。

出版社
講談社
刊行
2026年10月
仕様
単行本・224ページ
値段
定価 ¥1,980

対談で読まれた作品のうち、三宅さんの話に出たもの

三宅さんが大好きな作品に挙げた『ガラスの動物園』は、テネシー・ウィリアムズの戯曲です。

テネシー・ウィリアムズ(小田島雄志 訳)

ガラスの動物園(新潮文庫)

ガラスの動物園(新潮文庫)

母と姉と弟の3人家族の話です。昔の夢にすがる母と、脚が悪くとても内気な姉のことを、家を出た弟が思い出しながら語る形で進みます。テネシー・ウィリアムズはこの作品で、劇作家として認められました。

出版社
新潮社
刊行
1988年4月
仕様
文庫・192ページ
楽天評価
4.1/5(66件)
値段
定価 ¥649

動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)

エンデの『はてしない物語』は、岩波少年文庫で読めます。

ミヒャエル・エンデ(上田真而子・佐藤真理子 訳)

はてしない物語 上(岩波少年文庫)

はてしない物語 上(岩波少年文庫)

『モモ』に続いてエンデが書いた長編ファンタジーです。主人公はバスチアンという少年で、本の中の国ファンタージエンに入り込み、その行く末を背負うことになります。この文庫では上下2冊に分かれていて、岩波書店が示す対象年齢は中学生からです。

出版社
岩波書店
刊行
2000年6月
仕様
330ページ(上巻)
楽天評価
4.4/5(167件)
値段
定価 ¥924

動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)

「ミリアム」は、村上春樹さんが訳して2025年に出た『草の竪琴』に入っている短編です。

トルーマン・カポーティ(村上春樹 訳)

草の竪琴

草の竪琴

「ミリアム」では、ニューヨークに暮らす未亡人が、雪の夜、ミリアムと名乗る少女と出会います。カポーティが21歳でO・ヘンリ賞を受けた作品です。この本には、表題作の中編「草の竪琴」と、「ミリアム」を含む短編3つが入っています。

出版社
新潮社
刊行
2025年6月
仕様
単行本・272ページ
値段
定価 ¥2,695

動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)

「螢」は、新潮文庫の『螢・納屋を焼く・その他の短編』で読めます。

村上春樹

螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)

螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)

表題作の「螢」は、のちの長編『ノルウェイの森』のもとになった短編です。「納屋を焼く」を含め、村上さんの初期の短編7つを集めています。

出版社
新潮社
刊行
1987年9月
仕様
文庫・208ページ
楽天評価
3.7/5(315件)
値段
定価 ¥649

動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)

『カウンセリングとは何か』は対談の最後の回で読まれた東畑さん自身の本で、三宅さんは東畑さんを紹介するときにこの本の名前を出していました。

東畑開人

カウンセリングとは何か 変化するということ(講談社現代新書)

カウンセリングとは何か 変化するということ(講談社現代新書)

カウンセリングでは何が起きていて、人はそこでどう変わっていくのか。臨床心理士として働く東畑さんの新書で、第2〜4章ではカウンセリングを謎解き・作戦会議・冒険として見ていきます。新書大賞2026の大賞を受けました。

出版社
講談社
刊行
2025年9月
仕様
新書・448ページ
楽天評価
4.6/5(333件)
値段
定価 ¥1,540

動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)

『ま、さじ加減でしょ。』|綿矢りささんのエッセイ50篇

三宅さんは綿矢りささんのエッセイが大好きだそうです。

三宅さん

ぜひ読んでみてほしいのは

  • ぜひ読んでみてほしいのは:綿矢さんの小説を読んだことがある人(女子が感じたことのある感覚を、うまく言葉にしているので)

綿矢りさ

ま、さじ加減でしょ。

ま、さじ加減でしょ。

エッセイの題には、「マッサージ道場」「上海のバス」「レスリーの城」などがあります。女性誌『LEE』の巻頭で4年続いた連載の39篇に、日本経済新聞の旅のエッセイ11篇を加えた50篇です。旅のエッセイには、綿矢さんが敬愛する作家・宇野千代さんをたどって、岩国を訪ねる回もあります。

出版社
集英社
刊行
2026年10月
仕様
単行本・208ページ
値段
定価 ¥1,760

『本のおかげで暮らしていける』|津村記久子さんが毎日新聞に書いた読書日記

小説家の津村さんなら、日本の小説をよく読んでいるのかと思っていた三宅さん。ところが、この読書日記には海外の小説だけでなく、海外のエッセイやノンフィクションも多く、意外だったと話していました。

三宅さんの推しポイント

  • 一粒で二度おいしい——本の紹介として読めるうえに、津村さんのエッセイとしても読める
  • 労働の話が多い——労働は、津村さんのテーマの1つ

三宅さん

読みやすいかもしれないのは

  • 読みやすいかもしれないのは:社会人(働くことについての話も多いので)

津村記久子

本のおかげで暮らしていける

本のおかげで暮らしていける

2015年から2019年まで毎日新聞に月1回連載した読書日記です。1回に1〜2冊を取り上げていて、ハンニバルとカルタゴの歴史、ジャガイモの歴史、マインクラフトの開発者の本など、題材の幅も広いです。

出版社
毎日新聞出版
刊行
2026年9月
仕様
単行本・200ページ
値段
定価 ¥1,980

この読書日記に登場する本の中から、三宅さんは2冊を挙げていました。1冊目は、ヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』。この読書日記の「ウルフが語る女性と仕事」で取り上げられています。

ヴァージニア・ウルフ(片山亜紀 訳)

自分ひとりの部屋(平凡社ライブラリー)

自分ひとりの部屋(平凡社ライブラリー)

ウルフのこの随想には、「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない」という一節があります。『本のおかげで暮らしていける』で紹介されているのも、この片山亜紀さんによる訳です。

出版社
平凡社
刊行
2015年8月
仕様
単行本・272ページ
楽天評価
4.5/5(38件)
値段
定価 ¥1,540

動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)

2冊目は、研究者の藤原辰史さんの『ナチスのキッチン』。この読書日記の「台所から見たドイツとナチスキッチン」で取り上げられています。

藤原辰史

[決定版]ナチスのキッチン 「食べること」の環境史

[決定版]ナチスのキッチン 「食べること」の環境史

ナチスの時代のドイツで、台所と食べることに何が起きたのかを追った本で、目次には「フランクフルト・キッチン」「レシピの思想史」などが並びます。第1回河合隼雄学芸賞を受けた2012年の本を、2016年に増補したのがこの決定版です。

出版社
共和国
刊行
2016年7月
仕様
単行本・480ページ

動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)

『京ことば都がたり』|彬子女王が京都の言葉と暮らしを書いたエッセイ

著者の彬子(あきこ)女王は、日本の皇族で、オックスフォード大学で博士号を取っています。三宅さんは、彬子女王のエッセイがとても好きだそうです。

なかでも日本や京都の文化を書いたものには、「この人にしか書けない知識量と経験」を感じるそうです。この本も、「はんなり」のような京ことばを取り上げながら、食べものや街、お祭りといった京都の文化を書いたエッセイ集だと紹介していました。

三宅さん彬子女王が京都の文化について語ってくれるなんて
「

そんな贅沢あっていいんですか

」

この本は、雑誌『和樂』で約5年続いた連載をまとめたものです。章の題は24の京ことばで、たとえば「おくどさん」はかまど、「どんつき」は道の突き当たりのことです。

三宅さん

こんな人に

  • こんな人に:京都を観光する人(京都の言葉や文化を知れるので)

彬子女王

京ことば都がたり ことばで旅する京都

京ことば都がたり ことばで旅する京都

章の題には、「にぬき」(固ゆでの卵)や「おばんざい」(京都のふだんのおかず)といった食べものの言葉も並びます。表紙の日本画は古家野雄紀さんの描き下ろしで、絵のどこかに彬子女王ご本人も描かれています。

出版社
小学館
刊行
2026年10月
仕様
単行本・224ページ
値段
定価 ¥1,650

『日本デザイン文化史』|維新前後からバブル前後まで、日本のデザインを通しで見る新書

出版社の紹介によると、デザインから日本の暮らしや社会の移り変わりを見ていく本です。見るときの軸になるのは、使いやすさやつくりやすさを重視する「モダニズム」、広く一般の人々に行き渡る「大衆化」、そして「日本らしさ」の3つです。

生活必需品に加え、楽しみのための商品やサービスも多く買われる「消費社会」が生まれた時代の話も出てきます。無名の職人がつくる、ふだん使いの器や道具の美しさを見いだす「民藝(みんげい)運動」とか、家電のデザインとかも取り上げています。

三宅さんは、まだ全部は読めていないけれど面白い、と話していました。

三宅さん
「

いい新書、これぞ新書になるべきテーマってすごく思いました

」

三宅さんの推しポイント

  • ばらばらに知っていたことを、通しで見られる——三宅さん自身、植物のような曲線で飾る「アール・ヌーヴォー」が流行った時期や、どんな椅子が流行ったかは、何となく知っているだけだった
  • 書くときの小話の種になる——三宅さんの場合は、デザインに関する言葉をこの本で調べて、書評に小話として入れられる

三宅さん

読むと面白いかもしれないのは

  • 読むと面白いかもしれないのは:デザインや家電が好きな人(デザインの移り変わりを通しで読めるので)

井上雅人

日本デザイン文化史 モダニズム・大衆化・日本らしさ(河出新書)

日本デザイン文化史 モダニズム・大衆化・日本らしさ(河出新書)

序章のあと、第1章「維新前後」から第6章「バブル前後」までの6つの章で時代を追います。著者の井上雅人さんは武庫川女子大学の准教授で、デザイン史やファッション史を専門にしています。『洋服と日本人』などの著書があります。

出版社
河出書房新社
刊行
2026年8月
仕様
新書・320ページ
値段
定価 ¥1,430

『明治の出版革命』|明治の書店「兎屋」から見る出版の歴史

角川選書の1冊で、主役は、明治10年代に新聞の広告と安売りで出版界を揺るがした書店「兎屋」(うさぎや)の店主・望月誠です。

三宅さん

こんな人に

  • こんな人に:出版文化に興味がある人(資料の原文や広告で、当時の雰囲気が分かるので)

当時の出版が大衆に開かれていく様子も分かるので、1つ前の『日本デザイン文化史』とは比較的近いテーマかもしれない、と話していました。大衆化の話は、三宅さん自身の好きなテーマだそうです。

鈴木俊幸

明治の出版革命 書店界の風雲児「兎屋」の興亡(角川選書)

明治の出版革命 書店界の風雲児「兎屋」の興亡(角川選書)

章には「兎屋書店の創業」「書籍安売競争」「失速する兎」などが並び、7つの章で兎屋の興亡をたどります。著者は中央大学文学部の教授で、江戸時代の文学や、本の出版・流通の歴史が専門です。

出版社
KADOKAWA
刊行
2026年5月
仕様
単行本・318ページ
値段
定価 ¥2,717

三宅さんご自身の本

『それを読むたび思い出す』|三宅さんのエッセイ集が文庫に

2022年に青土社から出た単行本を、早川書房が文庫にしたものです。エッセイはあまり書かないという三宅さんの、唯一のエッセイ集だそうです。

文庫の解説「夢見る力」を書いたのは、この回の1冊目『孤独をのぞき込む』の東畑開人さんです。三宅さんは、すばらしい解説なので楽しみに読んでほしいと話していました。

三宅香帆

それを読むたび思い出す(ハヤカワ文庫JA)

それを読むたび思い出す(ハヤカワ文庫JA)

地元の高知、大学時代の京都、読書の3つの章に分かれたエッセイ集です。「ついイオンに入ってしまう」「鴨川日記」「ロールパンナちゃんの孤独」といった題が並びます。文庫では、文庫版のあとがき「固有名詞をしまう夜」が加わりました。

出版社
早川書房
刊行
2026年10月
仕様
文庫・208ページ
値段
定価 ¥1,100
こばんの台帳

今回の記録:2026年10月、三宅香帆さんの「今月の新刊」の動画(12分15秒)を視聴。紹介された6冊と三宅さんの文庫、話に名前が出た本まで調べた。 結論:この12分で、しゅりの読みたい本が2冊(『孤独をのぞき込む』『日本デザイン文化史』)見つかった。

気になった本があれば、読んでみてください。私は、この2冊を読みたいなと。

楽天評価の出どころ・デザイン用語の参考資料

「楽天評価」は、楽天ブックスでのレビューの平均点と件数です(2026年10月24日時点)。

用語の説明は、国立工芸館のデザイン史の解説、日本民藝協会「民藝とは何か」、小学館の辞典にある「大衆化」・「消費社会」を参考にしました。本の内容や3つの視点は、河出書房新社の紹介と目次で確認しています。

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2026-10-01

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