三宅香帆さんと竹下隆一郎さんの紹介本|積読・宗教・『グレタ・ニンプ』の読みどころを知る
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文芸評論家の三宅香帆さんとTBSの竹下隆一郎さんが本を持ち寄る『Page Turners』。2026年5月31日公開回は、積読の話のほか、宗教・戦争・AIを読む本が紹介され、小説の話も出ました。
話に出た本の多くを話題ごとに並べ、読みどころをまとめました。動画の冒頭に流れる、2人が収録までに読んだ89冊の一覧も、記事の最後に載せています。
積読は、自分で選んだ情報環境
『積読こそが完全な読書術である』|情報を追うことから、本を選んで置くことへ
動画も本も漫画も、面白いものがあふれていて、追いつこうとするだけで手いっぱいになります。永田希さんの『積読こそが完全な読書術である』は、そんな今だからこそ積読をすすめる本として紹介されました。
紹介の中心は、自分で選んだ本を周りに置き、必要なときに取り出せる環境をつくること。自分で買った本だけで、自分だけのラインナップができます。この本を挙げた三宅さんは、文庫版の解説も書いています。
永田希
積読こそが完全な読書術である

情報があふれ、すべてを読み切れない時代に、積読を読書の方法として捉え直します。読むことを急がず、本を手元に置いて暮らす意味を探り、速い思考や情報の消費に流されないための知的な営みを考えます。
- 出版社
- 筑摩書房
- 刊行
- 2026年04月
- 仕様
- 文庫判(ちくま文庫)・256ページ
- 楽天評価
- 3.74/5(41件)
- 値段
- 定価 ¥990
世界の動きは、宗教からも読める
『「ポスト・アメリカニズム」の世紀』|アメリカのやり方が揺らぐいまを、宗教からも考える
三宅さんが挙げたのは、アメリカの宗教を研究する藤本龍児さんの本です。20世紀のアメリカは、大量生産・大量消費のくらしと自由な民主主義を、セットにして世界に広めました。この本は、そのやり方が揺らぐいま、アメリカがどう変わっていくのかを、宗教の面からも考えます。
藤本龍児
「ポスト・アメリカニズム」の世紀――転換期のキリスト教文明

アメリカ文明の根にある宗教と、その変化を考える一冊です。9・11テロ、政教分離、福音派と呼ばれるキリスト教徒の台頭、中絶や移民などをめぐる保守とリベラルの対立(文化戦争)、多文化主義をたどり、アメリカ文明が揺らぐ背景を探ります。
- 出版社
- 筑摩書房
- 刊行
- 2021年05月
- 仕様
- 四六判・368ページ
- 値段
- 定価 ¥1,980
『宗教のアメリカ』|合理的な時代にこそ、宗教がまた必要になる
竹下さんが挙げたのは、同じ藤本さんの『宗教のアメリカ』です。CROSS DIGで竹下さんがやっている番組『BACKSTAGE AMERICA』でも取り上げた本です。2026年9月には、山本七平賞の受賞作に決まりました。
この本には、アメリカを語るときに宗教の話を避けてきたのは良くない、という問題意識があるそうです。近代化が進むと、合理的でないものはどこかへ消えていく。けれど、世の中のすべてが科学的・合理的になるわけではなく、合理化が進む時代にこそ、宗教のような理屈を超えたものがまた必要になる。そういう本だそうです。
竹下さんは、社会が成り立つ前提は、知らない人どうしが結びつくことだと考えています。社会契約や法律はあっても、人が結びつくには、理屈を超えた何かが要る。この本を読むと、それが宗教のこともあれば、コミュニティのこともあるとよく分かるそうです。

合理的なことだけでは、知らない人どうしはまとまらない、というのは分かる気がします。前に感想を書いた、歌人の穂村弘さんの『短歌の友人』にも、合理的に生き延びようとする意識が、詩の世界から人を遠ざけてしまう、という話がありました。気持ちを動かすのは、合理的で論理的なものではないんですよね。最近は、そういうところにこそ大事なものがあると思っています。
藤本龍児
宗教のアメリカ

建国以来の歴史と、その基層にある宗教的な世界観から、アメリカを読み解きます。清教徒(ピューリタン)の入植、独立革命、信仰復興の運動、南北戦争から、宗教リベラルと宗教保守の分かれまでをたどり、宗教から離れたように見える現代で宗教が持つ力を検討します。
- 出版社
- 岩波書店
- 刊行
- 2026年04月
- 仕様
- 新書判・318ページ
- 値段
- 定価 ¥1,276
『「世界を動かす宗教」講義』|現代の宗教を知る、最初の1冊に
三宅さんが、竹下さんにほかのおすすめを聞かれて挙げたのが『「世界を動かす宗教」講義』です。藤本さんの本がアメリカの宗教を専門的に語る本だとすれば、こちらはもう少し入門の本で、現代の宗教について読むなら、最初の1冊にとてもおすすめだそうです。
アメリカ、ウクライナ、バチカン、中国、日本など、各国の宗教を講義の形で見渡せます。国際政治は、指導者の動きや国どうしの力関係で考えがち。けれど実は宗教が深く絡んでいて、それを知るとニュースが分かりやすくなる。三宅さんはそう話していました。
池内恵 編著
「世界を動かす宗教」講義

宗教が国際政治をどう動かしているかを、分野ごとの専門家が論じます。アメリカの福音派やカトリック、イスラエルとイスラーム諸国の対立、ヨーロッパの正教会やバチカン、フランスの政教分離(ライシテ)、アジアの宗教を取り上げ、政治や社会との結びつきを追います。
- 出版社
- PHP研究所
- 刊行
- 2026年03月
- 仕様
- 新書判
- 楽天評価
- 3.5/5(15件)
- 値段
- 定価 ¥1,210
『文藝春秋』2026年5月号|ティールさんとトッドさんの対談に、アメリカの変化を読む
竹下さんが選んだ『文藝春秋』2026年5月号には、投資家のピーター・ティールさんと、フランスの学者エマニュエル・トッドさんの対談が載っています。ティールさんは決済サービスのPayPalなどを立ち上げた起業家で、大学では文芸批評家のルネ・ジラールに学びました。
ティールさんは、『ONE PIECE』の主人公ルフィをキリストに重ねて読む論考も書いていて、番組では「ワンピース論文」と呼ばれていました。この対談でも、『ONE PIECE』が話題になっています。
竹下さんは、この対談を読むと、いまのアメリカの大きな変化が分かる、と紹介していました。宗教や、科学的な合理主義ではないものが大事にされるようになった、といった変化です。
人文知(哲学・歴史・文学など)が大事なわけ
三宅さん
ティールさんのように、人文を深く掘ることが政治や社会の理解につながると思う
ジラールに学んだティールさんは、人文の分野も好きなようだ。
竹下さん
地政学的な変化もAIの変化も大きい時代には、人文知が大事
ITやサイエンスも大事。でもいまは、世界を大づかみにするセンスや、大きな想像力が必要だと思うから。
「文藝春秋」編集部
文藝春秋 2026年5月号

特集「ジャングル時代の生存戦略はここにある」に、ピーター・ティールさんとエマニュエル・トッドさんの対談が載った号です。同じ特集には、データ分析企業パランティアをめぐる記事や、池上彰さんと佐藤優さんの対談も並び、国際情勢を複数の視点から読めます。
- 出版社
- 文藝春秋
- 刊行
- 2026年04月
- 仕様
- 月刊誌
- 値段
- 定価 ¥1,300
戦争を、記録と物語から読む
『戦争とトラウマ』|語られなかった苦しみ
三宅さんが挙げた『戦争とトラウマ』は、第二次世界大戦を体験した日本の兵士の精神的な苦しみが、隠されてきたことを書いた本です。なかったことにされたので、当時の史料は捨てられ、あまり残っていない。三宅さんがいい本だと思う理由はそこにあり、想像より読みやすい本でもあるそうです。
食べ物が足りなかった話は、三宅さんもなんとなく知っていたそうです。それでも驚いたのは、精神的につらい体験から、食べても受け付けられなくなった兵士が少なくなかったこと。こうした苦しみが語られてこなかった背景には、当時は日本の兵士が精神的に傷つくはずがないという偏見があり、戦後は加害者側の兵士の被害を研究してよいのかという問題もあった、という説明でした。
竹下さんは、戦争のような大きな被害の体験は、本人が話せるようになるまで時間がかかり、受け止める社会の準備も要る、と話していました。三宅さんによると、この本は、そのどちらもいまだにまったく足りていないことも書いているそうです。
中村江里
戦争とトラウマ――不可視化された日本兵の戦争神経症

戦争神経症に苦しんだ日本の兵士を、治療の記録や医師に聞いた話から調べた研究書です。陸軍病院での治療や補償をめぐる問題、地域に残る元兵士の心の傷をたどり、戦後にこの病の記憶が忘れられた理由を探ります。
- 出版社
- 吉川弘文館
- 刊行
- 2017年12月
- 仕様
- A5判・330ページ
- 値段
- 定価 ¥5,060
『人はなぜ特攻に感動するのか』|特攻映画から、戦争の描かれ方を見渡す
『人はなぜ特攻に感動するのか』も、三宅さんが挙げた1冊です。特攻を題材とする映画から、戦争が物語の中でどう描かれてきたかを見渡せます。対談形式で、いろいろな角度から映画を語っているので、見たことのない作品を見るきっかけにもなるそうです。
井上義和・坂元希美
人はなぜ特攻に感動するのか

特攻を描いた映画に心を動かされるのはなぜか。『ゴジラ−1.0』などの作品を取り上げ、特攻を感動の物語にしてはいけないという強い意識や、命を次の世代へ渡す物語をどう受け取るか、という問題を論じます。
- 出版社
- 光文社
- 刊行
- 2026年02月
- 仕様
- 新書判・304ページ
- 値段
- 定価 ¥1,210
竹下さんの1冊は、豊永浩平さんの沖縄の小説『月ぬ走いや、馬ぬ走い』です。沖縄を訪れると、戦争から約80年が過ぎたとは思えず、戦争や亡くなった人たちを今のことのように感じるそうです。この小説では、現代の人物の語りが、いつの間にか80年近く前の日本兵の亡霊の語りに変わっていく。その描き方が、沖縄での感じ方に近いそうです。時代の違う現代と戦争は、報道ではなかなか一緒に書けないけれど、小説なら同時に書ける。そこが小説の強さだと、竹下さんは見ています。
動画で竹下さんが手にしていた『月ぬ走いや、馬ぬ走い』は2024年7月の単行本で、リンク先は2026年5月に出た講談社文庫版です。
豊永浩平
月ぬ走いや、馬ぬ走い

沖縄の戦争から現代までを、14人の語り手の声で描く小説です。特攻へ向かう旧日本軍の将校、アメリカにルーツを持つ少年、米兵と結婚した女性などの語りで、約80年の歴史をつなぎます。
- 出版社
- 講談社
- 刊行
- 2026年05月
- 仕様
- A6(講談社文庫)・208ページ
- 楽天評価
- 4.13/5(16件)
- 値段
- 定価 ¥770
『戦後敗戦』|国内の出来事を、世界との関係で読む
『戦後敗戦』は、著者が戦後日本の7つの国家危機を整理した本として紹介されました。その7つは、石油危機、プラザ合意、半導体敗戦、湾岸戦争、ネット敗戦、尖閣ショック、福島原発危機です。
竹下さんがこの本を読みながら考えたのは、日本は世界とのつながりを忘れがちなのでは、ということです。防衛ではアメリカに頼り、経済も世界とつながっている。それなのに、たとえばネットでは、国内で懸命に技術を開発している間に、海外から突然iPhoneが出てきて、世界が変わってしまう。そうした変化に日本はいつも気づかず、影響を受けて初めて、なぜこんなことが起きたのかと驚くのだと感じたそうです。
船橋洋一
戦後敗戦

石油危機から福島第一原発事故まで、著者が戦後日本の7つの国家危機として捉える出来事を検証します。組織の過剰適応や戦略をまとめる力の不足を探り、国民の安全を守る国家など、日本の今後の国家像に関する構想も示します。
- 出版社
- 実業之日本社
- 刊行
- 2026年03月
- 仕様
- 四六判・480ページ
- 値段
- 定価 ¥3,080
『戦後敗戦』の話の中で、三宅さんは加藤典洋さんの『敗戦後論』を読んだと話していました。
加藤典洋
敗戦後論

戦争の死者をどう悼み、アジアへの謝罪をどう考えるのか。占領した側が押しつけた憲法を、なぜよいものと感じるのかを問い、戦後日本が抱えてきたねじれを検討します。戦争の記憶や戦後の出発点をめぐる議論を収めた論考集です。
- 出版社
- 筑摩書房
- 刊行
- 2015年07月
- 仕様
- 文庫判(ちくま学芸文庫)・384ページ
- 楽天評価
- 4.4/5(11件)
- 値段
- 定価 ¥1,540
AIを何に使うかを、人文知で考える
『AIガバナンス入門』|AIのリスクと活用を知る
『AIガバナンス入門』は、AIに詳しい弁護士が、リスクと活用の両方を扱う本として紹介されました。竹下さんが、これから考えなければいけないと話していた問いがあります。AIを戦争に使って人が殺害されたとき、そこで生まれる心の傷(トラウマ)は、誰が引き受けるのか。ChatGPTが引き受けるわけではないので、使った人なのか、開発した人なのか、ということです。
ただ、戦争については、この本ではあまり詳しく扱っていないそうです。
羽深宏樹
AIガバナンス入門――リスクマネジメントから社会設計まで

ChatGPTなどのAIが社会にもたらす利点とリスクを整理し、どのように活用し管理するかを考えます。AIに関する基礎的な理解からリスクマネジメント、社会の仕組みの設計までを扱うガバナンスの入門書です。
- 出版社
- 早川書房
- 刊行
- 2023年12月
- 仕様
- 新書判・272ページ
- 値段
- 定価 ¥1,100
『倫理的野心を持て』|才能を、何に使うか
竹下さんは著者にインタビューもしていて、本の外の話も含めて『倫理的野心を持て』を紹介していました。著者の問題意識は、コンサルの仕事もアプリを作る仕事も素晴らしいけれど、優秀な人こそ、自分の能力や恵まれた教育を、もっと違うことに使ったほうがいい、ということ。倫理的な人こそ野心を持ち、野心のある人こそ倫理的であるべきだ、という考え方です。
竹下さん自身の考えでは、才能ある人が大きな事業に向かうのはいいけれど、軍事や国家の事業につながれば、暴力を生みかねません。だから、才能を何に使うかがまさに倫理なのだそうです。
ルトガー・ブレグマン 著/野中香方子 訳
倫理的野心を持て――あなたの才能を浪費せず、変化を起こすための10章

自分の才能を、社会の変化にどう結びつけるかを問います。高収入でも意義を感じにくい仕事の問題を取り上げ、コンサル会社の経営者の地位を捨てた人、法律を学ぶ学生、社会運動に関わる人々の実例から、行動に必要な知識や戦略を探ります。
- 出版社
- 文藝春秋
- 刊行
- 2026年04月
- 仕様
- 四六判・軽装並製・304ページ
- 値段
- 定価 ¥3,080
『アトムの命題』|大人になりたいのに、大人になれない
人文の話では、三宅さんが大塚英志さんの『アトムの命題』を挙げていました。ロボットのアトムは、大人になれない身体のまま、大人になりたいと葛藤する。それが実は日本の自画像と通じていたのでは、という見方で、アトムと戦後を並べて語る本だそうです。AIの時代に読むとそういう読み方もできるのかと、とても面白く読んだそうです。人文知が社会を理解するのに役立つ一例だと、三宅さんは考えています。
大塚英志
アトムの命題――手塚治虫と戦後まんがの主題

なぜアトムは大人になれないのかという問いから、手塚治虫と戦後まんがを考えます。記号として描かれる人物が、傷つく身体をいつ手に入れたのかをたどり、日本のサブカルチャーがどう始まったのかを、戦争と結びつけて検討します。
- 出版社
- KADOKAWA
- 刊行
- 2009年09月
- 仕様
- 文庫判・304ページ
- 値段
- 定価 ¥814
『アトムの命題』が論じている漫画が、『鉄腕アトム』です。
手塚治虫
鉄腕アトム 第1巻(サンデーコミックス)

『鉄腕アトム』は、天馬博士が交通事故で亡くした息子に似せて作った、ロボットの少年アトムの物語です。いつまでも子どもの体のままのアトムに博士は腹を立て、サーカスへ売り渡します。のちに自由になったアトムは、10万馬力で事件に立ち向かいます。全21巻と別巻2巻のシリーズの第1巻です。
- 出版社
- 秋田書店
- 刊行
- 1999年06月
- 仕様
- 新書判(サンデーコミックス)
- 値段
- 定価 ¥990
動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)
竹下さんは、手塚治虫は何度も読んだほうがいい、と話していました。『火の鳥』は、番組が以前に特集した作品です。
手塚治虫
火の鳥 1 黎明編(朝日コミックス)

生き血に不老不死の力があるとされる、火の鳥をめぐる物語です。第1巻の「黎明編」では、ヤマタイ国の女王ヒミコの軍勢に村を滅ぼされた少年ナギが、捕らえられて、火の鳥を射止めるための狩人に育てられます。全12巻のシリーズの1冊目です。
- 出版社
- 朝日新聞出版
- 刊行
- 2009年05月
- 仕様
- B5変判(朝日コミックス)・340ページ
- 楽天評価
- 4.3/5(22件)
- 値段
- 定価 ¥1,210
『ブラック・ジャック』は、三宅さんが最近読んでいるという漫画です。番組の『火の鳥』特集を見て、この漫画を読み始めた方が少なくなかった、と竹下さんは話していました。
手塚治虫
ブラック・ジャック 第1巻(少年チャンピオン・コミックス)

連載第1話の「医者はどこだ!」では、実業家の息子が交通事故で命が危うくなります。無免許の外科医、ブラック・ジャックが別の人の体が要ると告げると、父親は関わりのない若者が死刑になるよう手を回します。第1巻には、ほかに「ミユキとベン」「人間鳥」など、計8話を収めています。
- 出版社
- 秋田書店
- 刊行
- 1974年05月
- 仕様
- 新書判(少年チャンピオン・コミックス)
- 楽天評価
- 4.9/5(48件)
- 値段
- 定価 ¥748
動画では版の指定はありません(作品として紹介されていたので、いま新品で買える版にリンクしています)
小説と作家の身体から、人の変化を読む
『グレタ・ニンプ』|妊娠する身体を、男性の視点から読む
竹下さんが紹介した『グレタ・ニンプ』は、妊娠によって変化していく女性に、男性が戸惑う小説です。文字の大きさや字体が突然変わる書き方には、2人とも触れていました。
綿矢りさ
グレタ・ニンプ

4年間の不妊治療を経て、夫婦ふたりで暮らすと決めた俊貴と由依。その直後の妊娠をきっかけに、由依の見た目や話し方が大きく変わります。夫が見つめる妻の変化を描くコメディで、「深夜のスパチュラ」も収録しています。
- 出版社
- 小学館
- 刊行
- 2026年01月
- 仕様
- 四六判・336ページ
- 楽天評価
- 3.94/5(299件)
- 値段
- 定価 ¥1,870
三宅さんの見方では、『グレタ・ニンプ』の綿矢りささんと『YABUNONAKA』の金原ひとみさんは、他者の分からなさや関わり方という同じテーマを、違う描き方で書いています。『YABUNONAKA』を読み直したいという話も出ていました。
金原ひとみ
YABUNONAKA―ヤブノナカ―

文芸誌の元編集長・木戸悠介の性的搾取が、インターネット上で告発されます。編集者や小説家、その家族たちの生活が交わり、性や権力、暴力、愛が絡み合います。告発された側と被害を訴えた側、それぞれの周囲を描く長編小説です。
- 出版社
- 文藝春秋
- 刊行
- 2025年04月
- 仕様
- 四六判・上製・528ページ
- 楽天評価
- 4.13/5(393件)
- 値段
- 定価 ¥2,420
『三島由紀夫の肉体』|鍛える身体と、文章・思想の関係
山内由紀人さんの『三島由紀夫の肉体』は、身体を鍛えることから、三島由紀夫の人生や小説を読み解く本です。青白い知識人のイメージでデビューした三島が、身体を鍛え、やがて個人で文章を書かなくてもいい、集団と一体になるべきだという思想へ変わっていく。その変化が細かく書かれていて面白かった、と三宅さんは話していました。
『三島由紀夫の肉体』は、出版社の河出書房新社で「品切・重版未定」になっていて、Kindle・楽天Koboにも電子版はありませんでした。
身体と文章は結びつくようで結びつかない気がする、と話す竹下さんに、三宅さんが挙げたのが、今回読み返した『ダンス・ダンス・ダンス』です。作者の村上春樹さんも、走ることが小説と結びついているとよく語っている。だから身体と文章は意外と密接なのかもしれない、と三宅さんは見ています。
村上春樹
ダンス・ダンス・ダンス(上)

『羊をめぐる冒険』の物語から4年後、雪の札幌を訪れた「僕」が新たな冒険に踏み出します。1980年代を舞台にした長編小説の上巻です。
- 出版社
- 講談社
- 刊行
- 2004年10月
- 仕様
- A6(講談社文庫)・424ページ
- 楽天評価
- 4.19/5(430件)
- 値段
- 定価 ¥880
- 三宅香帆さんの別の回にも出てきます
『ダンス・ダンス・ダンス』の文庫は上下2巻。続きはこちらの下巻です。
村上春樹
ダンス・ダンス・ダンス(下)

「僕」が、喪失や絶望の中で、失われた心の動きを取り戻そうとします。渋谷からホノルルへと舞台が移り、羊男、少女、詩人、映画スターらが登場し、いくつかの殺人も起きます。長編小説の下巻です。
- 出版社
- 講談社
- 刊行
- 2004年10月
- 仕様
- A6(講談社文庫)・416ページ
- 楽天評価
- 4.22/5(427件)
- 値段
- 定価 ¥880
読むことは、調べること・書くことにも続く
『現代メディア史 新版』|各国のメディア史を見渡し、次に読む本も探す
『現代メディア史 新版』は、竹下さんに聞かれて三宅さんが紹介した本です。宣伝やプロパガンダが戦争とともにどう発達したかを国ごとに見渡せるので、日本の話だけを読んでそれが標準だと思わずに済む。三宅さんはこの本を教科書のように使っていて、本を書くときに、こういう本があると間違えなくて、とても助かるそうです。
竹下さんもこの本を持っていて、こうした本を「メディアの教科書」と呼んでいました。どこに何が書いてあるかが分かり、全体像がつかめるので、とても大切だそうです。
この本には年表も付いています。三宅さんにとっては、歴史の本を書くときなどに、どの年に何があったかを、ぼんやりでも頭に入れておくことがとても大事なので、この年表がありがたいそうです。文献案内から参考文献を読んで、本を調べることも多いそうです。
佐藤卓己
現代メディア史 新版

出版、大衆新聞、映画、ラジオ、テレビからインターネットまで、近代以降のメディアの変化をたどります。都市や国民の形成、宣伝と戦争、公共性との関係を各章で扱い、関連文献や年表も収録する新版です。
- 出版社
- 岩波書店
- 刊行
- 2018年11月
- 仕様
- A5判・272ページ
- 値段
- 定価 ¥3,190
竹下さんは、『情報法概説 第3版』のような本を参照しながら、CROSS DIGを運営しているそうです。
曽我部真裕・林秀弥・栗田昌裕
情報法概説 第3版

テーマごとに分かれがちな情報法を、体系立てて整理した基本書です。通信・放送、個人情報、違法有害情報、著作権、電子商取引を扱い、AIの普及やデジタルプラットフォームに関する制度を反映した第3版です。
- 出版社
- 弘文堂
- 刊行
- 2025年11月
- 仕様
- A5判・640ページ
- 値段
- 定価 ¥4,730
『書きたいことがない人のための日記入門』|日記に生活を書き、AIを聞き手に使う
phaさんの『書きたいことがない人のための日記入門』は、日記こそ最も自由で基本的な文章なのでは、というところから始まる本です。AIは日記の文章を作れても、AI自身が生活しているわけではない。人間の日記には、その人が実際に暮らした経験が反映される。三宅さんはそう話していました。
著者の提案として紹介されたのは、何を書けばよいか迷うとき、AIに聞き手として質問してもらってもよい、という方法です。
pha
書きたいことがない人のための日記入門

日記を、身の回りの出来事や自分の気持ちを見つめるための自由な文章として紹介します。書く題材、ほかの人の日記を読むこと、人とつながることを扱い、書く営みと創作との関係を考える入門書です。
- 出版社
- 星海社・講談社
- 刊行
- 2026年03月
- 仕様
- 新書(星海社新書)・144ページ
- 楽天評価
- 3.98/5(44件)
- 値段
- 定価 ¥1,100
三宅さんの読書ハック|文章を書き始めると、本を読むようになる気がする
三宅さんがいちばん本を読むのは、本を書くとき。考えたいテーマについてnoteで書き始めても、本をたくさん読むようになる気がするそうです。
動画の冒頭に流れる、2人が収録までに読んだ本89冊
書名・著者・出版社は画面の表記のままです。この一覧のうち20冊は、この記事の中でも紹介しています。同じ一覧は、番組の公式ブックリストにも載っています。
三宅香帆さんの77冊

「ポスト・アメリカニズム」の世紀
藤本龍児 ・ 筑摩書房

福沢諭吉の思想形成
今永清二 ・ 勁草書房
1979年の本で、新品は在庫切れ・再入荷予定なしです

嗤う日本の「ナショナリズム」
北田暁大 ・ NHKブックス
2005年の本で、いまは中古の出品が中心です

甲子園野球と日本人:メディアのつくったイベント
有山輝雄 ・ 吉川弘文館
1997年の本で、いまは定価を超える出品だけです

草の根の軍国主義
佐藤忠男 ・ 平凡社
2007年の本で、いまは中古の出品が中心です
おてあげ 第6号
困ってる人文編集者の会
Amazon・楽天には商品ページがありません

戦争とトラウマ
中村江里 ・ 吉川弘文館
選抜社会
竹内洋 ・ KADOKAWA
1988年の本で、いまは中古とコレクター商品の出品だけです
競争の社会学
竹内洋 ・ 世界思想社教学社
1981年の本で、いまは取り扱いがありません

大衆モダニズムの夢の跡
竹内洋 ・ 新曜社
2001年の本で、いまは定価より高い新品と、中古の出品が中心です
複眼サラリーマン学
竹内洋 ・ 東洋経済新報社
1985年の本で、いまは取り扱いがありません

アメリカの影
加藤典洋 ・ 講談社

アトムの命題
大塚英志 ・ KADOKAWA

現代メディア史 新版
佐藤卓己 ・ 岩波書店

学歴・階級・軍隊
高田里惠子 ・ 中央公論新社

書きたいことがない人のための日記入門
pha ・ 講談社

日本の企業発展史
下川浩一 ・ 講談社
1990年の本で、いまは中古の出品が中心です

能力主義と企業社会
熊沢誠 ・ 岩波書店
1997年の本で、いまは中古の出品が中心です

増補 日本人の自画像
加藤典洋 ・ 岩波書店

現代語訳 女大学評論 新女大学
福澤諭吉、加藤紳一郎(訳) ・ 慶應義塾大学出版会
2020年の本で、いまは中古の出品が中心です
福沢諭吉の名文句
田原総一朗 ・ 光文社
1992年の本で、いまは中古の出品が中心です

都市のドラマトゥルギー
吉見俊哉 ・ 弘文堂
1987年の本で、いまは定価を超える出品だけです

スポーツ解体新書
玉木正之 ・ NHK出版
2003年の本で、いまは定価より高い新品と、中古の出品が中心です

三島由紀夫の肉体
山内由紀人 ・ 河出書房新社

人はなぜ特攻に感動するのか
井上義和、坂元希美 ・ 光文社

学歴貴族の栄光と挫折
竹内洋 ・ 講談社

独立自尊 福沢諭吉の挑戦
北岡伸一 ・ 中央公論新社

敗戦後論
加藤典洋 ・ 筑摩書房

「世界を動かす宗教」講義
池内恵 ・ PHP研究所

ダンス・ダンス・ダンス(上)
村上春樹 ・ 講談社

ダンス・ダンス・ダンス(下)
村上春樹 ・ 講談社

少女たちの「かわいい」天皇
大塚英志 ・ KADOKAWA
2003年の本で、いまは中古とコレクター商品の出品だけです

積読こそが完全な読書術である
永田希 ・ 筑摩書房
竹下隆一郎さんの12冊

AIガバナンス入門
羽深宏樹 ・ 早川書房

宗教のアメリカ
藤本龍児 ・ 岩波書店

EPIC of ゴルゴ13 ナチスの亡霊
さいとう・たかを ・ リイド社

倫理的野心を持て
ルトガー・ブレグマン ・ 文藝春秋

月ぬ走いや、馬ぬ走い
豊永浩平 ・ 講談社

戦後敗戦
船橋洋一 ・ 実業之日本社

文藝春秋 2026年5月号
文藝春秋

情報法概説 第3版
曽我部真裕、林秀弥、栗田昌裕 ・ 弘文堂

すごい古典入門 アーレント『人間の条件』
戸谷洋志 ・ 中央公論新社

グレタ・ニンプ
綿矢りさ ・ 小学館

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歴史ギャグ漫画『風雲児たち』やAIとペアを組む本など、同じ番組の別の回です。
2026-09-15
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